これは本物ですか?

ご年配の女性が
ご来店され、

「これ、日本堂で昔
リフォームした指輪だと思うけど、
ちょっと見てもらえますか?」

、と
席に着かれました。

昔に流行った
婚約指輪のデザインで、

太い6本爪に支えられた
おおよそ1.5カラット程の
石が付いている指輪でした。

少し考えて

「わざわざこの形に
作り替えることはないので
日本堂ではないと思います。

他のお店でリフォーム
したのではないですか?」

、と
聞き返しました。

昔ならば
当たり前に販売していた
一般的な形だったから、

わざわざ
作り替えたのなら

〈日本堂でなら
新しいデザインに
しているはずだ・・・〉

、と思ったからです。

お客様には

「まずは
この指輪がどんなモノなのか
確かめてみましょう」、と

ルーペと
ダイヤモンドチェックの機械を出して
調べることに。

本物のダイヤモンドなら
石にチェッカーの先端を当てると
「ピー」と鳴る仕組み。

「キュービックジルコニアならば
無反応です。」

と伝えてから、
テストを始めました。

結果は
無反応。

枠も
プラチナではなくて

メッキが施された
シルバー製でした。

【これは本物のダイヤモンドでも
プラチナでもない】ということを伝えました。

「昔々。受け取って
おかしいと思っていたのよ。

違和感がありながら
ずっとしまっておいたのよ。」
と言われました。

「お宅でリフォームしていないなら、
家に出入りしていた宝石商かしら?!」
と、

どうやら
あやふやな記憶だったようでした。

このご婦人は
全く普通のおばさまで、

こちらを騙そうという気ではないのは
話をしていて解りました。

ただ、

「昔、日本堂でリフォームしたのよ。」と
一言目に言われた時に

そのあやふやな記憶を
真に受けて

「その節はありがとうございました」

、と軽々しく答えていなくて
よかったと思いました。

その言葉から
怖いことになっていたかも。

誤解が誤解を生めば
トラブルになりかねません。

🍀

業界の話をすれば

以前、伊勢丹で
ダイヤモンドのすり替え事件が
ありました。

ダイヤモンドを預けたはずなのに
リフォームしたらキュービックに
すり代わっていた、という出来事です。

裁判になって
伊勢丹さんが負けました。

同業だから伊勢丹さんについて
理解するのは

お客様の気持ちを
考えたからこそ、

「これはダイヤモンドではありません」

、と言えずに
預かってしまったのだと。

預けたご本人は
ご本人で、

「これはダイヤモンド!」、
と信じきっていたはず。

この話を
カウンセラーになる時に
聞いていたので

言うべき時には
言いにくくても
言わないといけない

そう学んでおいて
よかったと思いました。

🍀

気落ちしたお客様。

40年も前の若々しい指には
大きすぎた石だから

今の迫力ある手には
似合うし

アクセサリーと割り切れば
気軽に使えますよ
、とアドバイスをしました。

昔はお洒落したくて
色々と買ったのよね、と
昔話をして下さいました。

🍀

宝石のリモデルは
リスクのある仕事と解っているので

預かりものには
慎重に慎重に

細かな商品情報や画像を
残しています。

あとは人間力。

それは
こちらもお相手も。

落とし穴に落ちないように
楽しみながらも気を使いながら

これからも宝石リモデルの仕事を
遂行しようと思っています。