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一本の葦

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今日は朝から
予約のお客様が
おみえになりました。

カラオケの先生だそう。

両手にはちゃんとした
大きな指輪が何本も。
イヤリング
ネックレス
ブレスレット
アンクレットまで

お洒落を楽しんでいるのが
よくわかります。

今日はリモデルの相談です。

たくさんたくさんの宝石を
間にはさんで
話が始まりました。

たくさんの宝石なので
リモデルするもの
整理してお金にかえるものと
分別していきました。

宝石にまつわる
自分史を
持っている方でした。

新婚時代に
キツイ水仕事のために
湿疹がひどくなって

10本の指全部に
包帯を巻いて泣いていたそうです。

その姿を見てご主人が
「指が治ったら
宝石をいっぱい買ってやる」と。

そんなたくさんの
宝石一つ一つに
エピソードがあって
徐々に
話に引き込まれていきました。
そして
苦労をいっぱいされているのも
話からわかりました。

「私たちは一本の葦なのよ」

その言葉を聞いて
あー、と
思いました。

そんなことを思って
生活をしてみえるんだ。

その一言で
会って間もない
そのお客様のお人柄を
身近に感じました。

気心が知れた頃には
不用になった宝石の変わりに
欲しい宝石を手に入れて、
嬉しそうに着けて帰られました。

お昼、
自宅に戻って
壁に掛かった書を
眺めました。
母が
中学生の時に書いたものを
お嫁に来るときに
もらってきたものです。

弱いけど、
しなやかに強く
考える葦。

これを見るたびに
あー、と
思います。