末っ子への愛情

兄弟がいて、

親が下の子を可愛がるのには
理由があるのだそう。

下の子は
親との時間が短い。

例えばうちなら
上の子と下の子は8歳差。

私が死んで
いなくなる時、

上の子と比べて8年も
一緒にいる時間が少ない
下の子。

その時間を埋めるために、
親の愛情が

下の子に深くなるのは
自然なこと、だと聞いた時には、

自分の感情に
安心しました。

🍀

今日、

リモデル相談にみえた
親子さん。

お嬢さんは30歳。

お母さんが、自分の持っている
大切な1カラットのダイヤモンドを、

その子に生前贈与として
渡したい、とのことでした。

「この子とはこの先
一緒にいる時間が少ないから」

、と言われた
言葉の意味が、

上の子に
50歳の息子さんがいて

その子と比べて、と
説明を受けて納得しました。

子どもの年齢差が
約20年。

お兄ちゃんと比べて
20年という時間が少ない
末っ子の娘さんに

一生懸命に愛情を掛けている
お母さんの姿でした。

ただ、

横に座っている娘さんの
表情がすぐれません。

「この指輪。
サイズ直しをしたら
使いますか?」

と尋ねると

無言で
首をひねるばかり。

クリーニングして
ピカピカに光らせて

指に着けてもらった時にも、
笑顔がありません。

それを見て
お母さんには、

サイズ直しは止めましょう
、と提案しました。

せっかく直しても、
着ける気持ちが無ければ

そのまままたきっと
何十年とそのダイヤモンドは

引き出しの奥に
しまわれるだけ。

それならば無駄なお金を掛けず
そのまま譲った方がいい。

娘さんも
「それがいい」と言いました。

🍀

聞けば娘さんは以前も
お母さんから

たくさんの宝石を
もらっているのだとか。

でも着ける気持ちが
全く無いのだそう。

その理由は何かな?と
思いつつ話を聞いていると

宝石に
興味が無いのではなくて、

もらうものが彼女の細い指に
合わないボリュームで、

きっと目の前の指輪同様、
今のデザインではない

古さを感じるものを
譲られているからなのでは
、と感じました。

日本堂にある、
ダイヤモンドリングの

リモデルサンプルを見せた時に
手に取ったのは、

凹凸の無いシンプルな
デザインリングでした。

彼女が手に取った
いくつかのリモデルのデザイン。

詳細を紙に落として、
おかあさんに渡しました。

リモデルしつつ、
サイズも直せます。

本人が気に入れば
着けてくれるはず。

また来週。

別の宝石を持ってきて
相談を受けることになり、

今日は
お帰りになることに。

おかあさんの深い愛情が
彼女が笑顔になれる
宝石になるといいな

、と思ったのでした。