指輪の脱着

「指輪が抜けなくなった」
、とご来店のお客様。

日本堂では
指輪をカットする
仕事もします。

数年と長い時間
指輪をしているうちに
指が成長。

太くなって抜け道が
なくなってしまった指輪は、

どうやっても
抜くことが出来ません。

道具は
ちょっと病院っぽい。

リングカッターを
指輪に押し当てて

ネジを回して少しずつ
擦りながら、切っていきます。

最初は通常通りに
切り始めました。

すると、普段とすこし
様子が違う。

聞けば
この抜けない指輪は、

昔、彫金をしていた彼女の
手作りリング。

どっしり厚みがある
ピンクゴールドのリング。

硬い材質の
ピンクゴールドのカットに

かなりの時間が
かかりました。

そして、
流れでは通常なら

両側をペンチで挟んで
拡げれば

地金がクネッと曲がって
指を抜く
スペースが出来ます。

ところが。

ピンクゴールドは
硬いと知識ではあっても

その硬さを実感したことは
ありませんでした。

ここまで硬いとは!!!

男の力でも
少ししか広がりません。

力を抜くと金のバネ性で
元に戻ってしまいます。

日本堂の奥から
いろんな工具まで持ち込んで、
工夫してトライします。

ギュっと瞬間ひろげた時に
硬い工具を
何とか差し込んで

ひろげた状態をキープしつつ
指を抜こうとしたり、

プラス

石鹸でツルツル滑るように
してみたり、

指マッサージで
指の浮腫を取りながら
通してみようとしたり。

「もう一ヶ所切らせて欲しい」
という提案は、

大切な指輪だから、と
嫌がっていたお客様も、

かれこれ

一時間以上の工夫が
全部ダメだったので
あきらめて

自分から

「もう一ヶ所カットしたい」
、と言ってくれました。

何とか取り外せた時には、
みんなで汗だくでした。

指が少し
赤くなったものの、

けがをせずにすんで
ホッとしました。

指の浮腫が
落ち着いたら、

サイズを測り直して
お直しをする予定です。

🍀

そんな指輪抜き時に
重なったのは、

同級生の
お母さん。

お母さんも指環の抜き差しに
悩んでいました。

おしゃれでこだわりのある
お母さんは、

ユルい指輪は
着けた時に回ってしまうのが
嫌。

でも、

指の変形で節のサイズが
上がってしまって、

ギリギリサイズに
してしまうと

着けたい時に
つけられない事があるのも
ストレス。

そこで考えたのは、一部分、
指輪をカットしておく方法。

試してもらって
その場ですこしひろげました。

そうしたら、微妙なサイズ感で
ジャストサイズになり

「よし!!」

これなら、いつでも
つけられるし、外せる。

ひろげられるし
小さくも出来る。

お気に入りの指輪を
普段使い出来るようになったことで、

すごく
喜んでくれました。

そして、
友だちの新たな相談。

石が外れてしまった
指輪について。

様子を
見させてもらって

「これにお金を掛けるのはやめよう」
、と提案しました。

お金を掛けずに
何とかつける方法を
探ることにしました。

でも

このままではいかにも
〈石落ちのリング〉

アイデアは
宿題になりました。

アップサイクルの
外し宝石たちを眺めながら

それを
無料で提供して

私が出来る
範囲のことで、

彼女が好きな
イメージのリングに

お直しできたら良いなと
思っています🌸