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ひとには ひとの

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風呂敷代わりにした大判のスカーフから
大事そうに
真珠のケースを取り出したおばあさん。
「この真珠を買い取って下さい」と言われましたが
うちでは出来ないことを伝えました。
保証書があったので ひょっとしたら
質屋で買い取ってもらえるかも
、と思いましたが
二束三文の金額を言われる
雰囲気の品でした。
ちゃんと買った時の値札も
入っていて
とても大きな金額でした。
「せっかくなら このまま、
お子さんかお孫さんに差し上げるのが
一番喜ばれますよ」と伝えてみました。
話を聞くと
おばあさんには二人の息子さんが
いるそうです。
おばあさんが骨折をした時に
【長男】が一生懸命に介抱してくれて
元気に歩けるようになったそうです。
こうして杖をついて歩けるようになったのも
長男のおかげだと言います。
そして、
「お金をみんな持っていっちゃうの」と
今度は【次男】の話を始めました。
でもこれは愚痴ではなくて
たくさんの胸の内にあったものが
ポロっと出てしまった感じでした。
真珠を売りに来たのは
長男が病気になってしまって
〈何かしてやりたい〉という気持ちに
なったからだそう。
84歳になっても お母さんです。
「真珠、良いアドバイスをありがとうね」と
帰っていかれました。
自分にも息子が複数いて
母親として
区別なく育てているつもりで、
きっとおばあさんもそうだったろうに
〈何がそうさせたのか〉
そんなことを考えた時に
たまたま昨日
息子の荷物整理で見つけた
殴り書きを思い出しました。
ひとには ひとの
おれには おれの
やり方がある
大きくなってくると
はらはら見守ることしか出来ない
男の子の子育て。
同じ親から産まれても
それぞれが
色んなところで
色んな事を考えて
悩んで
それで親を越して 大きくなっていくんだ。
そして
別の人格になっていくんだ、と
そう
ぼんやりと感じたのでした。
〈それが答えなのかもな〜〉と
すごいことを教えてくれた
殴り書きだと思いました。

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