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父の時計

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父が亡くなってから
母はずっと
父の腕時計をはめています。
この時計は
初めて父が大きな病気をして
運よく何事もなく退院出来た時に、
主人と私で考えて
快気祝いに贈ったものです。
泥をかまう仕事をしていた父は
壊れてもいいように
いつも適当な時計をしていました。
それでも
日にちと曜日が
【日本語】で表示してあるのが便利だから、と
そこには こだわっていました。
そういった機能がある
SEIKO紳士物クオーツ時計は
その時唯一、これだけ。
少し丸みがあって
女性っぽいデザインに見えたから
気に入ってもらえるか心配したけれど
サプライズで渡した時には
病室でとっても喜んでくれました。
それから毎日
してくれるようになりました。

父が亡くなって
お風呂に入る以外は
寝ているときもこの腕時計をしている母。
使いすぎてリューズが緩み
メーカーに修理に出しました。
なるべくなら
部品の交換をしないように。
ピカピカに磨かないように。
今日、実家に届けたら
母が「やっぱりこれがいいわ〜」と
さっそく着けていました。
少し女性っぽいデザインは
体がゴツかった父には 優しすぎたけど
今の母の腕には 良く似合います。
だから
この時計との巡り合わせだったのかな、とか
母と話をしました。

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