🌟4.14 キプロスでの車の運転

バスに乗せてもらえない。
ケータイが使えない。
タクシーが来ない。
現地の言葉が通じない。

知らない土地で
いろんな経験をして

息子は
強くなっていました。

乾燥した砂と岩との
荒陵とした

山々の奥深い所へ
こんなところに自転車で。

彼の言うキプロスの
100kmコース。

山の奥が深すぎて
走っても走っても同じ景色で

車に乗っていて
でさえ

行っても戻っても
恐ろしく長い距離で

誰とも
すれ違わない山で

こんな場所で一人で
ロードバイクに乗っていると
最初から知っていたら

きっと
止めていただろうな。

でも、本人は

このくらいのことを
やる、と決めていなくては

ロードバイクを日本から
わざわざ

持ってきたり
しなかっただろうし。

しかし

町から町への距離が
日本とは本当に違っていました。

だから
移動はレンタカー。

国際免許証を取ってきた
私が運転手です。

「帰り、僕は空港まで
一緒に付いて行けないから、

頑張ってお母さん、
運転していってね」

、と
聞かされてからは

早く
慣れなければ!、と

その
最終日のために

毎日

Googleマップの指示に
従うことや

慣れない
ロータリー式の右左折を

路上教習のように
繰り返しました。

時には、
マップの設定ミスで

切り立った山道の
1台通るが精一杯の

岩場の悪路に
入り込んだ時には

本当に
怖かったな。

無事でやれやれ。

今回の旅は

「可愛い子には旅をさせよ」
「老いては子に従え」

これがキーワード。

息子にとっては

老いて、は私のこと。
可愛い子、も私のこと。

私にとっては
それは
母のことでした。

運転も「お母さん
、出来るから。」

英語も「お母さん
、喋れるから。」

土壇場でも

「俺に頼らずに自分で最後まで
頑張って。大丈夫だから。」

、と励まされ
続けました。

昔。

小さな息子たちに
「大丈夫、出来るから」

という言葉を
言い続けてきたのは自分。

今ごろになって
同じ言葉を
返されている感じ。

今さらながら
子どもたちには酷だったけど

私もこれからは
こうして鍛えられながら

若い人たちに
育ててもらえたら

後退を押さえつつ
前進出来そうな
気持ちになります。