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黒紋付きの縞袴

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子供達が小学生の時に
一緒に絵本を読み聞かせをしていた方で
最近になって
久しぶりにお会いできました。
今年成人式をした息子さんの
写真を持って来て下さいました。

この成人式のために
息子さんに〈黒紋付きの縞袴〉を仕立てて
用意されたそうです。
持ち物の中には
昔のお嬢さんの写真。

私は早くに親が亡くなって小学校の3年生から新聞配達をしたんですよ。でもそこが私の居心地のいい居場所になってね、新聞屋のお父さんたちがすごく良くしてくれたんですよ。
早くから働き初めて19歳のお金が無いときに買った着物があってね、良いものじゃないけど娘はそれを成人式に着たいと言ってくれたんですよ。
息子には絶対〈黒紋付きの縞袴〉を着せたいと思ってね、主人を説き伏せて自分の家の紋を付けた着物を仕立てたんですよ。
話を聞いていると
節目節目をとても大切に考えている方だと
感じました。
そしてその節目には必ず〈着物〉があるのも
分かりました。
彼女から教わったことがありました。
着物は
【着て】嬉しい。
【眺めて】嬉しい。
【譲って】嬉しい。
「だから絶対に手放さないで」
、と子供達に言うそうです。
いくら高価な着物でも
手放した瞬間から二束三文になってしまう。
自分で持っていることに価値があるんだから、と。
うーんと唸る説得力でした。
〈宝石〉にも同じことが言えるからです。
彼女は今回、
何本も同じデザインのリングに
リモデルされました。
その時には
本当に良いのかなとスタッフで
心配したくらいです。
その着物の話を聞いた時に〈なるほど〉と思って
その事を伝えたら
「私の中ではちゃんと順位があるから大丈夫ですよ」
と言われました。
長い長い話は
雑談ではなくて、
色々な事に気が付かせてもらえた
生きた講義になりました。
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