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オモニ

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朝一番
若いカップルを連れた
こ年配の方がいらっしゃいました

韓国なまりで元気な明るい声。
息子さんらしき子に
「どれがいいの」、と
お世話を焼きながら

お店には
「安くしてね〜」、と
交渉しながら
品定めをする様子

若い子たちは
言葉が通じないので

お母さんが表に立って
一生懸命に話をしながら
18金のダイヤモンドリングを
決められました

奥で聞いていて
たしか、
どこかで、
聞いたことのある、
懐かしい声の様な気がして

「もしかして
明智の方で八百屋をしていましたか?」

聞いてみました

ソウソウ!
なんで知ってる?
ワタシ、有名人だから
知ってるのヨネ!?


10年ほど前、
母に癌の疑いがあった時がありました
何とかしたいと思って
藁をも掴む気持ちで
健康に良いとされるもの全て
食べてもらう努力をしていました

そのひとつが
キノコのアガリクス茸

たまたま通りかかった
明智の八百屋に、
韓国から入れている
アガリクス茸を見つけて

それからは無くなる度
遠いけれど
買いに行っていました

底抜けに明るい店主のオモニは

「ビョウキ? 大丈夫ダイジョウブ!」

そんな
単純な物の言い様が
その時の自分には
すごい励みになっていました

今日来たのは
なんと
そのオモニでした

懐かしい。
やっぱりそうだった

お顔を見ても
分からなかったけれど
声は変わっていなかった

勇気を出して
聞いてみて良かった

帰りに
ありがとうね、と
ポンっと
柿の箱を一箱
渡してくれました

やっぱり変わらない
あの時のオモニでした