自分が宝石店に勤めているのは、
人生の流れからの偶然。
嫁ぎ先の生業が
宝石の仕事だったから。
元々宝石に
強い憧れを持たない
性格だったからこそ、
宝石に
目移りすること無く
淡々と
過ごせているのだと
思っています。
「目が合って三秒」
『本当に好きな宝石があれば、
お客様は三秒で決める』
そんな風に先輩から
教わったことがありました。
高額品の宝石で
自分にそんなことが
起こるかなぁ・・・
と思っていました。
今日、出掛けていったのは、
宝石の展示会。
なんとそこで初めて
その【三秒】の感覚を
味わいました。
その宝石と目が合った時。
まるで走馬灯でした。
昔の古い実家の暗い電灯の下を
思いだし、
父と過ごした海外の
暗いテラスハウスでの
生活を思い出し、
小さな子どもたちを
思い出し、
瞬間に頭にいろんな事が巡って、
「その宝石が欲しい」と思いました
【ヤモリの指輪】です。
「ヤモリは家を守ってくれるから
大事にしないといけないよ」、と
【家を守る】と書くのだと
小さな頃にお祖母ちゃんから教わって
家の壁を伝って上っていく
ヤモリを見つけては、
「守られているんだな」と
思っていました。
そのヤモリは、ブランド
【マッティオリ】のデザインで、
無垢の地金の宝石は、今や
一番贅沢な宝石。
こういう時に
きっと人は思うんだろうな、
これを買う
特別な理由があるといいな
、と。
学費が終わって
ようやくの、今。
だから
出会ったのかな。
還暦を迎える年だから
出会えたのかな。
来年の干支、ヘビならぬ
ヤモリなのかな。
ヘビ年だからか
昔から爬虫類が好き。
写真を撮りながら
可愛いなぁ可愛いなぁと
ついつい言ってしまう
可愛さは
買って良いものなのだと
確信しながら
その一歩を躊躇している
自分です。
お客様もこういう気持ちで
宝石を買ってくださるんですね🌸